涙の涸れる日
 大学での仲良しの里香さん、樹里さん、桜子さんとも

「色々ありがとう。感謝してる」

「何を言ってるの。紗耶」
「そうよ。紗耶の幸せは私達の幸せなんだからね」
「紗耶、本当に綺麗よ。幸せにね」


「先輩、結婚しても紗耶は私達のかけがえのない親友なんだから、偶には一緒に出掛けるのも認めてくださいね」
「そうですよ。紗耶を独り占めしないでもらえますか?」
「紗耶を家政婦にしたら承知しませんからね」


「分かったよ。偶にだよ。紗耶は俺のなんだから、そこを忘れないでもらえるかな?」


「独占欲強いと嫌われますよ」
「器の大きさを見せてくださいね」
「先輩と喧嘩したら、いつでも家に来て良いからね」


「おいおい。怖い事を言わないでくれるかな」


 紗耶は涙ぐみながら笑っていた。



 紗耶は両親に
「お父さん、お母さん、育ててくれてありがとう」

「何を言ってるの。紗耶がたくさんの幸せを私達にくれたのよ」

「そうだよ。私達の娘に生まれてくれてありがとう」



「お兄ちゃん。私、幸せになるからね」

「あぁ。紗耶が幸せになれない訳がない」



 紗耶が望んだウェディングパーティーは、こういう心の通い合った物だったんだと分かった。



 大き過ぎる会場で、雛壇に座って、お色直しだと着せかえ人形のように扱われ、よく知らない招待客に挨拶も出来ない披露宴は嫌だったんだと……。

 やっぱり紗耶は最高の花嫁だ。


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