涙の涸れる日

ホテル宿泊

 ウェディングパーティーを終えて……。

 その夜は都内のホテルに宿泊した。

 明日、オランダに旅立つ。

「紗耶、疲れてないか?」

「ううん。全然。まだ夢の中に居るみたい」
夢みる少女のような可憐な紗耶……。

「夜はどうする? 和食にするか?」

「そう言えば、お腹空いてるかも……」

「殆ど食べてなかっただろう?」

「そうね。皆さんとお喋りしてるのが楽しかったから」

「佐田部長が紗耶のこと褒めてたよ」

「えっ? 本当に?」

「良い人を見付けたなって」

「そう言ってもらえると嬉しいかな」
紗耶の笑顔。

「その笑顔だよ。みんな見惚れてたよ」
思わず抱きしめた。
「きょうから二人なんだな」

「あのね。もしも気に入らない事があったら教えてね。料理の味付けとか色々……」

「紗耶に気に入らない所なんて一つも無いよ」

「でも、これからずっと一緒に居るんだよ。我慢して欲しくないから……」

「分かったよ。紗耶こそ、ちゃんと言えよ」

「うん。あっ、ねえ、食事済ませたら、バーに行きたい」

「分かった。じゃあ行くか?」

「うん」


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