涙の涸れる日
 それから一週間……。
 佑真の帰りは遅かった。

 でも、遅くなっても私の作った食事を美味しそうに食べてくれるのは、やっぱり嬉しい。

「紗耶、ごめんな。もう少しで仕事、落ち着くから」

「ううん。頑張って働いてくれるのは私の為でもあるんだから。我儘は言わない」

「紗耶、ありがとう」

「ありがとうは私が言わなきゃいけないのに……」

「紗耶が俺を待っていてくれるのが凄く励みになってるんだ」

「うん……」

「ごちそうさま。美味かったよ」

「食べてくれてありがとう」

「紗耶、シャワーは?」

「もう、お先に浴びちゃったよ」

「それは残念……」

「片付けてる間にシャワー浴びてきたら?」

「そうするよ」
 

 結婚して佑真の傍に居られる事が幸せだと思う。

 この気持ちをこの生活を大切にしていこうと思っている。

 佑真を愛して、佑真に愛されて、ずっと幸せでいられますようにと願っていた。

 

 最後の食器を拭き終わったら、背中から佑真に抱きしめられる。

「紗耶、何考えてたの?」

「知りたい?」

「紗耶の事なら何でも知りたいよ」

「幸せだなって思って……」

「それは俺の方だよ」

「本当に?」

「本当だ。幸せ過ぎて……怖いくらい」

「どうして怖いの?」

「んー。どうしてかな? 紗耶を失うような事があったら俺、生きていけるかなとか……」

「どうして失うって考えるの?」

「さぁ、どうしてかな?」

「変な佑真……」

「だよな。もう寝よう」

「うん」


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