涙の涸れる日

ビストロ

 そして土曜日。

 樹里が予約してくれたビストロで待ち合わせた。

 良く知っている通りから一本入った所に、そのお店はあった。煉瓦造りの素敵なビストロ。

「こんにちは」

「紗耶。こっち」
樹里がもう席に座っていた。

「素敵なお店ね。知らなかった。この前の通りなら良く知ってたんだけど」

「でしょう? 私もお局に連れて来てもらって知ったの」

「随分仲良くなったのね」

「うん。基本良い人なの。案外人見知りなのかも」

 すると
「紗耶、樹里、久しぶり」
桜子だ。

「パーティーの時はありがとう。あれからラインしか出来なくてごめんね」

「何言ってるの。きょう会えたじゃない」
と微笑む桜子は綺麗だ。

「やっぱり桜子は綺麗だよね」
つい言葉に出てしまう。

「女優さんの娘よ。綺麗に決まってるわよ」

「ううん。私はただのマネージャーですよ」

「その笑顔でドラマだって映画だって出られると思う」

「それより紗耶よ。めちゃめちゃ綺麗になってて驚いたよ」

「やっぱり新婚の人妻は色気ダダ漏れなのよね」

「えっ? そんな事ないよ。変わってないでしょ?」

「いやいや。高梨先輩に愛されてるからね」

「綺麗にならない訳がないよ」

 そこに里香が現れた。
「私が最後だったのね。紗耶、凄く綺麗になったね」

 ほらねって樹里と桜子が目配せしてる。

「今の紗耶が綺麗じゃなかったら問題だよ」

「そうよね。新婚さんだよね」

 何か皆にイジられてるみたい……。


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