涙の涸れる日
 そして私達も卒業後の進路を決める時が来た。

 驚いたのは里香。教職員試験を突破し私達の母校の女子高に国語教師として就職が決まっていた。
 樹里は大手食品会社から内定をもらっている。
 煌亮は最大手商事会社に入ると言っていた。

 もっと驚いたのは桜子。どこにでもいる普通の美人じゃないのは理解してたつもりだったけど……。
 母親が元女優さんで今は誰でも知ってる有名俳優を何人も抱える芸能事務所の代表取締役。
 桜子は卒業したら事務所に入り見習いマネージャーから修行するんだって。
 本当、知らなかった。ビックリだよ。

 決まらないのは私だけ……。
 まあ父から
「私の第二秘書になれば良い」
と常日頃から言われていたから焦りは全くなかった。
 だからお嬢様だって言われるのかなと少し反省している。

 みんなそれぞれ大変な思いをして就職を勝ち取ったのに……。


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