涙の涸れる日

お盆のお墓参り

 お盆休みになって、きょうは二人で佑真の実家に向かう。
 高梨家のお墓参りに行くために車で出掛けた。

 佑真のご両親は私達が着くのを待っていてくださった。

「いらっしゃい。遠いのにありがとう」

「こんにちは。きょうは宜しくお願いします」

「じゃあ、先にお墓参り済ませましょうね」

 車で自然の溢れる道路を山手に向かって走る。三十分程でお墓に着いた。

「綺麗な所……」

「まあ自然はいっぱいだけどな」

 桶に綺麗な水を汲んで柄杓で水を掛ける。
 お墓の掃除をして、花を飾り、線香を立てる。

 家長のお父さんから順番にお墓の前にしゃがんで手を合わせる。お母さん、佑真、そして私。

 合掌して心の中で
「佑真さんと結婚しました。紗耶です。いつかここに入れてもらう日が来ると思います。その時は仲良くしてくださいね」
 お会いした事もない、ご先祖様に気持ちを伝えた。




「紗耶ちゃん、本当に良いお嫁さんね。お墓参りがしたいなんて」

「あぁ」

「紗耶ちゃんを傷付けるような事をしたら母さん許さないわよ」

「分かってるよ」

「本当に良い子だ。佑真には勿体ないよ」

「それ、兄貴にも言われた」

「そりゃそうだろう。大切にしろよ。あの子を泣かせるような事はするな」

「分かってるよ。全く親父まで……」

「お前が信用出来ないから言うんだ」

「何かあったら私は紗耶ちゃんの味方だから。佑真、忘れないでよ」




 お墓参りの帰り道にある蕎麦屋で昼食にする。これが高梨家の恒例になっている。

 店主が打つ蕎麦が絶品で楽しみのひとつだそうだ。

 皆んなで天ぷら蕎麦を注文して食べた。

「美味しい」

「そうでしょう。ここの蕎麦を食べたら他所では食べられなくなるわよ」

 食事を終えて高梨の家におじゃまして遅くならない内に帰宅した。

「ありがとうございました」

「また来てちょうだいね」


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