涙の涸れる日

ゆったり過ごす年末年始

 結婚して初めてのお正月を迎える。

 大掃除する程でもないけれど……。
 それなりに掃除した。

 佑真は年末は忙しい。二十九日まで仕事だと言っていた。

 それに忘年会や、普通に残業もあって、毎日帰宅は遅くなる。

 それでも何とか仕事を熟して、頑張ってくれている佑真に感謝しかない。

 二十九日の夜、佑真は十時に帰宅した。

「ただいま」

「おかえりなさい。お疲れさま」

「終わった。今年も仕事頑張ったよ」
佑真がハグしてくるから……。

「うん。良く出来ました」 
佑真の背中に腕を回してヨシヨシと撫でる。

「晩ごはん何?」

「今夜は水炊きにしてみました」

「腹ペコペコ……」

「着替えて来て。食べよう」

「分かった」
楽なスウェット上下に着替えてテーブルに着く。

 その間に、水炊きを温めてテーブルの鍋敷の上に置いて蓋を開ける。立ち昇る湯気……。

「美味そう……」

「ポン酢と胡麻ダレとどっちが良い?」

「どっちも好きだけど、きょうはポン酢かな」

「分かった。はい、ポン酢ね」

「ありがとう。いただきます」
佑真は見てて気持ち良い位、しっかり食べてくれた。
「美味かった。ごちそうさま」

「どういたしまして」
ついフフッと笑ってしまった。

「どうした?」

「こんなにしっかり食べてくれて嬉しいから」

「紗耶の料理は本当に美味しいよ」

「ありがとう」

「ところで、明日から年末年始、どうする?」

「うーん。初めてのお正月でしょう? 高梨家にお年始に伺わないとね」

「そうか……。本多家にも行かなきゃな」

「行ってくれるの?」

「勿論だよ」

「いつ行く?」

「元旦に行くべきかな?」

「元旦は高梨家でしょう?」

「そうか?」

「家は二日で良いと思うよ」

「じゃあ、そうするか」

「うん」


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