涙の涸れる日

ゴールデンウィークは北海道

 お正月から二人で熟慮に熟慮を重ねて决めたゴールデンウィークの旅行先は、北海道。

 桜も咲いてるらしいし、海の幸食べ放題だし、自然がいっぱいだし、お義兄さんにも会いに行ける。

 沖縄は来年のゴールデンウィークに行こうという事になった。それも楽しみ。

 羽田から新千歳空港まで、一時間半。
 朝、九時半の便で、十一時には到着。

 レンタカーも予約してあったから、自由に二人だけの旅行を楽しめた。

 予約してあったホテルのチェックインまで観光地や行きたかった所を堪能する。

 只々真っ直ぐな道を車で走って行くと道の両側には満開の桜。

「本当に桜が咲いてる」

「今年は桜が二度も見られたな」

「うん。あっ、ねぇ、今、標識に熊出没注意って書いてあった」

「何もない所だからな。冬眠から覚めた熊が出て来てもおかしくないな」

「えっ? 出て来たら、どうしよう……」

「大丈夫だろ。取り敢えず車から降りなければ」

「本当に?」

「怖いのか?」

「佑真は怖くないの?」

「いや、本当に出て来たら怖いだろうな」

「熊と闘って勝てる気はしないよね」

「そうだな」

「この道、何にもないよね。ナビ間違ってないよね?」

「さっき、ちゃんと入れただろう目的地」

「うん。入れた」

「紗耶って心配性なんだな。もうすぐ建物も見えて来る筈だよ」

「本当だ。何か安心した」

「ハハハ。美味しい物、食べに行くぞ」

「うん」


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