涙の涸れる日
 夜は小樽市内のホテルに宿泊した。キングサイズダブルベッドの部屋。しかも各部屋に海が見える露天風呂が付いている。

 お料理もフランス料理のフルコース。もう最高に贅沢してる。

 ホテルにチェックインして部屋に入る。

「わぁ、本当に海が見える」

「風呂に入って、フレンチのフルコースに行くよ」

「一緒にね?」

「良く分かってるな」

「佑真、いつも一緒に入りたがるんだもん」

「夫婦なんだから当然だろ?」

「そうなのかな? みんな普通に一緒に入ってるのかな?」

「他所は他所。家は一緒に入るの」

「佑真、子供みたいだね?」

「こんな逞しい子供はいないよ」

「そうだね。フフッ」
佑真に抱きついた。

「どうした?」
佑真もウエストに腕を回して抱きしめてくれる。

「幸せだなって思って……」

「それは俺のセリフだ」

「佑真も幸せ?」
顔を上げて目を見詰めて言う。

「結婚してもうすぐ一年。旅行もして、紗耶の可愛い所を独り占めしてるんだぞ。幸せに決まってる」

 嬉しくて思わず佑真の首に両腕を回す。
 私からキスした。佑真も応えてキスが濃厚なものになる……。

「紗耶。それ以上煽るとフルコース行けなくなるよ」

「えっ? どうして?」

「紗耶はそういうところ天然なんだから……」

「ん?」

「キスだけで止められなくなるって事。まあ俺はフレンチのフルコースより紗耶のフルコースの方が満足出来るけど?」

「……お風呂は後にして、先にフルコースに行こう?」

 佑真に思いっきり笑われた。


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