涙の涸れる日
 佑真に包まれて目覚めた。
 こんな広いベッドなのに……。

 昨夜はあれから海の幸たっぷりのフルコースをシャンパンと美味しくいただいて……。

 お洒落なバーで、私はホワイトルシアンを佑真はジントニックを注文して大人な時間を楽しんだ。

 部屋に戻って少し酔いを醒ましてから露天風呂に入る。

 部屋の灯りだけ点けて……。

 仄暗い露天風呂は、お湯もぬるめで、いつまでも入っていられそうで……。

 夜の決して華やかではない景色が、また大人っぽくて……。

 佑真の膝の上に座って、まったりして……。

 そのままベッドで甘い時間を飽きる事なく過ごした……。



「紗耶、起きた?」

「うん……」

「体、辛くない? ちょっと無理させたかな?」

「疲れて動けない……」

「ごめん。紗耶が可愛くてつい……」

「でも……。嬉しかったよ」

「そういうところだよな。紗耶にどんどん嵌っていくのって」

「ん?」

「本人は無自覚だから困る……」

「えっ? 何が?」

「何でもない。さぁ、起きて朝のフレンチに行くよ」

 朝食を済ませて少しのんびりしてからチェックアウトした。


 素晴らしいホテルで忘れられない思い出をまたひとつ作る事が出来た。


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