涙の涸れる日
 一年前ウェディングパーティーをしたイタリアンのお店に来ていた。

「高梨様。ようこそおいでくださいました」

「その節はお世話になりました」

「とんでもない事でございます。私共も、あのような心温まるパーティーは初めての経験でございました」

「ありがとうございます」

「結婚記念日においで頂き私共も大変嬉しく思います。ごゆっくりお料理をお楽しみくださいませ」

 
 食前酒のスパークリングワインがテーブルに置かれた。

 タコとサーモンのカルパッチョ、カプレーゼ、ヴィシソワーズ、生ウニのトマトソースパスタ、真鯛のソテー、仔羊のグリル、そしてドルチェはティラミス、エスプレッソコーヒー。

 どのお料理もとても素晴らしい物だった。

「いかがでございましたか?」

「とても美味しくて満足させて頂きました」

「ありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとうございました。良い記念日になりました」






「やっぱりここは素敵なお店ね」

「うん。一年前を思い出したよ」

「フフッ。そうね」

「また来ような」

「はい」



 オーナーシェフのお陰で素晴らしい結婚記念日になり、これからも、もっと二人で幸せになろうと心に固く誓った。


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