涙の涸れる日
クリスマス年末年始……。
十二月に入ってから、佑真は残業や忘年会、接待や営業先の忘年会と毎日忙しく帰宅はほとんど十一時を過ぎる。
新しい店舗も任されていて、それでも時間が足りないと言っていた。
一人で待つ時間は長くて、先にお風呂にも入って、暖かいリビングで佑真の帰りを待つ。
樹里や里香との長電話も仕事で忙しい二人には、そんなに度々は出来ない。
桜子はいつが暇なのか分からないから、私から電話はしない。
でも偶に
「紗耶、元気?」
と電話をくれる。
そんな時は思いっきりお喋りして楽しい時間を過ごす。友達って大切だと改めて思う。
ある日、帰宅早々佑真が言った。
「紗耶。ごめん。今年のクリスマスは得意先の忘年会が入った」
「それもお仕事なんでしょう?」
「新商品の売り上げの記録を出してくれた店舗だから断れないんだよ」
「うん。分かってる。飲み過ぎないでね」
「顔だけ出して、なるべく早く帰るから」
「気を付けて帰って来てね」
*
聖なるクリスマスの夜の忘年会。
佑真の帰宅は十二時を過ぎた。
そっと鍵を開けてリビングに入ると紗耶はソファーで眠っていた。
小さな物音で目を覚ました紗耶。
「あっ、おかえりなさい。遅かったね」
「あぁ、ごめん。盛り上がって抜けられなかったんだ。飲まされて……。酔いも醒ましてたから遅くなった……」
「私もごめんね。眠っちゃった……」
「紗耶、風邪ひくぞ。もう寝て」
「うん。そうさせてもらおうかな」
「俺も風呂に入ったら寝るから」
「うん。じゃあ、おやすみなさい」
紗耶が寝室に行く後ろ姿を見ていた……。
「紗耶……。ごめん……」
佑真の呟きは紗耶には聞こえてはいなかった……。
なんとか仕事を片付けて年末年始の休み。
今年も高梨家と本多家へ年始の挨拶に紗耶と二人で行った。
その後、予約してあった近くの温泉で、紗耶と久しぶりにのんびり過ごした。
「佑真と久しぶりに一緒に居る気がする」
「仕事ばっかりでごめんな。紗耶に寂しい思いさせてるよな?」
「ううん。私は佑真を待つのが仕事かな?」
そう言って笑顔を見せる紗耶。
「新店舗のオープンが今月だから、それが終わったら少しは早く帰れるようになると思う」
「うん。無理しないでね。それだけが心配」
「ありがとう。紗耶が居てくれるから頑張れるよ」
「そういえば、ここの和食が凄く美味しいって評判みたいよ」
「そうなんだ」
「佑真が選んで予約してくれたんでしょう?」
「そうだけど……。いつも留守番ばかりの紗耶に喜んでもらいたくて……」
「その気持ちだけで嬉しい」
紗耶の笑顔はまるで汚れを知らない天使だと思った…………。
新しい店舗も任されていて、それでも時間が足りないと言っていた。
一人で待つ時間は長くて、先にお風呂にも入って、暖かいリビングで佑真の帰りを待つ。
樹里や里香との長電話も仕事で忙しい二人には、そんなに度々は出来ない。
桜子はいつが暇なのか分からないから、私から電話はしない。
でも偶に
「紗耶、元気?」
と電話をくれる。
そんな時は思いっきりお喋りして楽しい時間を過ごす。友達って大切だと改めて思う。
ある日、帰宅早々佑真が言った。
「紗耶。ごめん。今年のクリスマスは得意先の忘年会が入った」
「それもお仕事なんでしょう?」
「新商品の売り上げの記録を出してくれた店舗だから断れないんだよ」
「うん。分かってる。飲み過ぎないでね」
「顔だけ出して、なるべく早く帰るから」
「気を付けて帰って来てね」
*
聖なるクリスマスの夜の忘年会。
佑真の帰宅は十二時を過ぎた。
そっと鍵を開けてリビングに入ると紗耶はソファーで眠っていた。
小さな物音で目を覚ました紗耶。
「あっ、おかえりなさい。遅かったね」
「あぁ、ごめん。盛り上がって抜けられなかったんだ。飲まされて……。酔いも醒ましてたから遅くなった……」
「私もごめんね。眠っちゃった……」
「紗耶、風邪ひくぞ。もう寝て」
「うん。そうさせてもらおうかな」
「俺も風呂に入ったら寝るから」
「うん。じゃあ、おやすみなさい」
紗耶が寝室に行く後ろ姿を見ていた……。
「紗耶……。ごめん……」
佑真の呟きは紗耶には聞こえてはいなかった……。
なんとか仕事を片付けて年末年始の休み。
今年も高梨家と本多家へ年始の挨拶に紗耶と二人で行った。
その後、予約してあった近くの温泉で、紗耶と久しぶりにのんびり過ごした。
「佑真と久しぶりに一緒に居る気がする」
「仕事ばっかりでごめんな。紗耶に寂しい思いさせてるよな?」
「ううん。私は佑真を待つのが仕事かな?」
そう言って笑顔を見せる紗耶。
「新店舗のオープンが今月だから、それが終わったら少しは早く帰れるようになると思う」
「うん。無理しないでね。それだけが心配」
「ありがとう。紗耶が居てくれるから頑張れるよ」
「そういえば、ここの和食が凄く美味しいって評判みたいよ」
「そうなんだ」
「佑真が選んで予約してくれたんでしょう?」
「そうだけど……。いつも留守番ばかりの紗耶に喜んでもらいたくて……」
「その気持ちだけで嬉しい」
紗耶の笑顔はまるで汚れを知らない天使だと思った…………。