涙の涸れる日

二度目の結婚記念日……。

 二度目の結婚記念日が来る。

 佑真は去年のようにウェディングパーティーをしたイタリアンの店に予約を入れてくれていた。

 今年は平日になってしまうから前日の日曜日に食事に行く。

 お気に入りのワンピースを来て、佑真と出掛けた。

「いらっしゃいませ。高梨様。今年もありがとうございます。お待ちしておりました」
オーナーシェフが挨拶に来てくれた。

「こんばんは。今年も宜しくお願いします」

「きょうは良い食材が入りましたので、お任せで宜しいでしょうか?」

「はい。楽しみにしております」

「ありがとうございます」


 美味しいワインにシェフの心づくしの料理に舌鼓をうつ。

「紗耶。いつもありがとう」

「えっ? 何が?」

「紗耶が居てくれるから、俺は仕事にも頑張れる。感謝してるよ」

「そんな……。私は何でもない普通の事をしているだけよ」


 幸せだった。
 優しい夫と二度目の結婚記念日。


 私は世界一幸せな妻だと思っていた。

 この時はそう信じて疑わなかった。


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