涙の涸れる日
就職して半年が経った。九月も終わるというのにまだまだ暑い。
きょうは取引先に書類を届けに地下鉄に乗って出掛けた。
車を使って良いと言われたけれど、免許証は持っていても殆どペーパードライバーの私は断った。
副社長の兄 凌太にも
「その方が良い」
と笑われた。
「行ってきます」
「あぁ、気を付けて」
まだ笑ってる。本当失礼な兄だ。
書類を届けた帰りに歩道を歩いていると、私の前を歩いていた着物を着た年配の女性が崩れるように倒れた。
慌てて頭だけは支えて地面にぶつける事はなかったが、
「おばあさん、おばあさん」
と呼びかけても返事がない。
スマホを取り出し、バッグを枕代わりに頭の下に置いた。
すると、どうした? と声を掛けてくれた男性が。
「急に倒れて。意識もないようです」
「分かった」
男性はスマホを取り出し、救急車を呼んでくれている。
「お年寄りが歩道で倒れて意識がないようです。はい。場所は地下鉄の○○駅近くの亀山という和菓子屋の前です。はい。お願いします」
「ありがとうございます」
間もなく救急車とパトカーが着いた。
救急隊員に事情を説明して、おばあさんは病院へと運ばれて行った。
警察官からも事情を聞かれ、男性が答えてくれた。
「目撃者という事で、すみませんが連絡先を教えてください」
と言われた。
名前と住所、連絡先に携帯番号を書いた。
「ご協力ありがとうございました。何かあればご連絡させて頂くかもしれませんので宜しくお願いします」
と言って警察官を乗せたパトカーは走り去った。
何だかまだドキドキしていた。こんな場面に遭遇したのは初めての経験だ。
きょうは取引先に書類を届けに地下鉄に乗って出掛けた。
車を使って良いと言われたけれど、免許証は持っていても殆どペーパードライバーの私は断った。
副社長の兄 凌太にも
「その方が良い」
と笑われた。
「行ってきます」
「あぁ、気を付けて」
まだ笑ってる。本当失礼な兄だ。
書類を届けた帰りに歩道を歩いていると、私の前を歩いていた着物を着た年配の女性が崩れるように倒れた。
慌てて頭だけは支えて地面にぶつける事はなかったが、
「おばあさん、おばあさん」
と呼びかけても返事がない。
スマホを取り出し、バッグを枕代わりに頭の下に置いた。
すると、どうした? と声を掛けてくれた男性が。
「急に倒れて。意識もないようです」
「分かった」
男性はスマホを取り出し、救急車を呼んでくれている。
「お年寄りが歩道で倒れて意識がないようです。はい。場所は地下鉄の○○駅近くの亀山という和菓子屋の前です。はい。お願いします」
「ありがとうございます」
間もなく救急車とパトカーが着いた。
救急隊員に事情を説明して、おばあさんは病院へと運ばれて行った。
警察官からも事情を聞かれ、男性が答えてくれた。
「目撃者という事で、すみませんが連絡先を教えてください」
と言われた。
名前と住所、連絡先に携帯番号を書いた。
「ご協力ありがとうございました。何かあればご連絡させて頂くかもしれませんので宜しくお願いします」
と言って警察官を乗せたパトカーは走り去った。
何だかまだドキドキしていた。こんな場面に遭遇したのは初めての経験だ。