涙の涸れる日
「お父さんは?」

「すぐ来るんじゃないか? 大丈夫だから。心配するな」
兄の言葉に安心する。

 父が二階から降りてくる。
 私の顔を見て微笑んでくれた。

「お父さん。ごめんなさい……」

「紗耶が謝る事じゃないだろう? 辛い思いをしていたんだな。気が付かなくて悪かったな」

「そんなことない……」

「いつでも帰っておいで。母さん、紗耶の部屋はそのままになってるだろう?」

「えぇ。今もそう話していたの」

「早い方が良い。マンションの荷物は?」

「服とか欲しい物はあるけど……」

「絶対に一人では行くなよ。凌太、一緒に行ってやれ」

「分かった。平日の方が良いよな?」

「そうだね。仕事で居ない時間に行って来る」


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