涙の涸れる日
 紗耶を失うかもしれない……。
 いや、もうとっくに俺の前から姿を消しているのに……。

 それでも、まだ戻ってくれる可能性に掛けたい……。

 俺の身勝手な行動に、紗耶には許すという選択肢はきっとないのだろう……。


 何で、あんな女の策略に簡単に嵌った?
 あの女のどこが良かったんだ?

 考えても考えても自分の馬鹿さ加減に自分で呆れる。



 ずっと幸せだった。
 紗耶との毎日は宝物のようにキラキラ輝いていた。

 俺はそれを自分で壊した……。
 紗耶との幸せだった結婚生活を自らの手で汚したんだ……。

 後悔なんて言葉では足りない……。

 


 紗耶が出て行ってから三週間……。
 仕事から帰宅すると……。


 クローゼットから紗耶の物が消えていた……。

 ただ一枚だけハンガーに掛かったコート……。
 あの寒い日のデートに紗耶にプレゼントした物……。



 テーブルには、紗耶に似合うと思い決めた婚約指輪と二人で変わらない愛を誓い合った結婚指輪……。


 今頃になって気付いても遅過ぎる……。
 自分が犯した取り返しの付かない過ちを……。
 最低な夫だったということを……。


 そして改めて思い知る……。
 紗耶を今でも心から愛していると……。

 
 
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