脆姫は過去に生きる
鉄平の言葉に涙があふれ出す。

”置いて逝きたくないと思った”

その言葉が全身に響く。

「婚姻の儀をあげよう。咲。愛している。」
鉄平の言葉に私は頷くことができない。

「いやか?私と共に生きる未来は。」
「・・・」
未来が欲しい。
あなたとの未来が欲しい。

そう何度も何度も思った。
今もそう。

あなたと一緒に居たい。
一緒に居られれば何もいらない。
何も望まない。

そうずっとずっと思って来た。
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