脆姫は過去に生きる
過去の苦しい思いがあふれ出して、時々言葉に詰まる私。

鉄王は私の背中をさすりながら話を聞いてくれた。



そして・・・



「あなたは死んでしまった。ある日突然。」
私の言葉に鉄王の手がピタリと止まった。

「あなたのいない世界は、白黒の世界に染まってしまった。何を見ても色がなくて、何を食べても味がしない。何をしていても、心が死んでしまったかのように何も感じられなくなった。ちょうど同じころに、私を担当していた病院のお医者さんが、私の命がもうすぐ終わるかもしれないと宣告したの。」
話を進める中で鉄王にとってなじみのない言葉も多かった。私はその一つ一つも、この世界に来てつけたわずかな知識で説明をする。
< 106 / 251 >

この作品をシェア

pagetop