脆姫は過去に生きる
「本当は診ていただかなくても大丈夫なくらい、今は回復しています。でも王がご安心して公務に向かえるのなら、診ていただきます。ですから、どうかここは」
私の言葉に鉄王は威圧感をシュンと切なさに変えたような表情をしてから、部屋を出た。

「すぐに呼ぶのだぞ。終わったら、すぐに呼ぶのだぞ?」
そう念を押して部屋を出る鉄王は正直少しかわいらしかった。



私の体調を質問されると富さんが何でも私よりも先にこたえてくれる。
その姿に微笑ましくも頼もしくも感じながら私は指示に従って医軍に体を調べてもらった。

とはいってもこの時代。
脈に触れたり、胸に手をあてて鼓動を確認したり、する程度だ。

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