脆姫は過去に生きる
「不安か?」
私の手が震えていたらしい。
鉄王は私の手をギュッと握りながら目を見る。

「こんなにうれしいことはないぞ。咲。」
その言葉に私はやっと事態を飲み込むことができた。

「しかし、安心できませんぞ。姫様のお体は出産に耐えられる保証はありません。」
医軍の言葉に私たちは一気に現実に思考が戻る。

私の体を考えても、もしももといた世界で妊娠したらすぐに堕胎を進められる事態だと思う。
妊娠できたことも奇跡だ。それだで私にとっては奇跡であって、無事に子供を産める保証は全くと言っていいほどない。

「まずはお子が育つまで発作が起きない保証はない。流れることもご覚悟をいただきたい。そして、姫様の体が出産を耐えられるかはわかりません」
子どもができたということはうれしい。でも、現実をみれば喜びだけではないのが事実だ。
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