脆姫は過去に生きる
身支度を済ませてからも、私は富さんの言いつけを守り寝台に横になった。

まだ自分のお腹の中に命が宿っていることが信じられない。


ふと瞳を閉じて、思い出す。

もしも、鉄平との間に子供ができていたら、鉄平はどんな表情をしただろうか。

私の体を考えて産むことを否定したかもしれない。

じゃあ、もしも私の体が健康だったら。

そんな夢物語を考えているうちに、私は深い眠りへと誘われた。
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