脆姫は過去に生きる
「そばで守っていないと不安なのだ。懐妊が知れたら皆の目は変わる。婚姻の儀を済ませて正式に妃になれば、咲の命を狙うものも出てくるだろう。姫たちのお茶会にももう参加はしなくて良い。王命だ。これからはさらに危険が増す。」
夢の中の出来事を思い出していた。確か鷹姫という名前が聞こえた後に、何か強い力に押されるように私は池の中に落ちていた。
富さんはお茶会で出されるものに関しては口にしないようにと言っていた。

この時代には危険がたくさんある。

ただ鉄王と一緒に居たいだけというのは許されない環境だ。

私がもしも無事に出産できたとしても、子供の命も狙われることになるかもしれない。
「一気に不安にさせてしまったな。でも、王宮に居れば大丈夫だ。私の信じられる家臣しか周りには置かぬ。咲の周りは特にだ。もちろん富も一緒に王宮にあげる。御影も。」
「・・・」
「咲は体の事だけを考えてくれればいい。」
鉄王の言葉を聞きながら私は眠気を感じていた。
これがつわりというものなのだろうか。
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