脆姫は過去に生きる
「座るだけで大丈夫です」
「だめだ。」
ひょいっと私の体を抱き上げて鉄王は私の体を寝台の上に横にする。

こうして毎日毎日、鉄王は時間ができると私の様子を見に来る。
ほとんどずっと一緒にいるような感覚だ。

王は寝室の隣の公務室の扉を閉めず、常に私の様子が聞こえるようにしている。

「王は公務にお戻りください。」
「気にするな。以前よりも頭がさえている。いかに効率よく公務を終えるかに全力をかけているからな。今までにない速さでこなしていることを家臣からも褒められているくらいだ。」
王の周りには、王を慕う古くからの家臣が多い。
温かな雰囲気に私は王宮に住み始めてから安心した。

「昨夜もあまり眠れていなかっただろう。眠れるときに休んだほうがよい。」
確かに夕方から夜、そして朝方にかけてなかなか寝付けない日が続いている。
鉄王は私が鉄王に抱きしめられるとすぐに眠ってしまうことを知っている。
< 141 / 251 >

この作品をシェア

pagetop