脆姫は過去に生きる
私の横に鉄王も横になり、私を抱き寄せる。
「お腹の子は元気か?」
「まだわかりません。」
まだ私のお腹はかすかにも膨らんではいない。
むしろ、つわりであったであろう時期に痩せてしまったことで前よりもへこんでいるくらいだ。

鉄王は私に栄養のあるものを食べさせようといろいろと用意をしてくれている。
散歩好きの私に付き合って少しだけだと念を押しながら、王宮の中を案内してくれたり、気分転換もさせてくれている。

「もう少し食べられるといいのだが。何か食べたいものはあるか?」
この世界では、私がいた世界とは違った食べ物が多い。
「・・・浮かびません・・・」
昔から食べることに関して欲がなかった私。
今はなおさらだ。

「そうか・・・いろいろと用意している。好むものがあれば言ってほしい。」
「はい」
鉄王は国中からいろいろな食材を集めてくれていた。

すでに姫たちにも国民たちにも私の懐妊が知れ渡り、王は婚姻の儀で正式にはなしをすると決めていると教えてくれた。
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