脆姫は過去に生きる
夢にうなされたり、私が泣き始めると鉄王は優しく起こしてくれる。

「咲」
優しい声に瞳を開けるとそこには心配そうな表情で私の髪を撫でる鉄王がいた。
「また泣いていた。咲だけにこんなに不安な思いをさせてすまない。代われるものなら代わりたい。」
鉄王に抱きしめられながら、私は自分のお腹に触れた。

咲さんのメッセージは何なのか・・・
鉄王にとって今の私はどんな存在なのだろうか。
私がもっと丈夫な体で、誰からも認められるような存在なら、王としての鉄をもっと支えられただろう。

きっと咲さんも同じ思いで池に落ちたあの瞬間、死を覚悟したのだろう。

「お腹が痛むのか?」
心配する鉄王に首を横に振る私。

「どのくらい寝てました?私。」
「少しだけだ。すぐに泣き始めたから起こした。すまない。もう少し眠らせたかったのだが。」
戸惑った様子の鉄王に私は微笑みかける。

こうすることしかできない。
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