脆姫は過去に生きる
「婚姻の儀が決まった。簡略化した形で明日執り行う。日もいい。紅姫の体調も今は落ち着いている。」
鉄王の言葉に私は息をのむ。
いよいよだ。

「わかりました」
私の妊娠が分かってから数週間たった。
少しずつ食事も食べられるようになり、体力も戻ってきたころを見計らって鉄王は婚姻の儀を行うことを決めた。

内容はあらかじめ御影さんから聞いている。

本来ならば一日かかる婚姻の儀を今回はなるべく短時間で行うようになる。

「本当は紅姫の体を考えて行わないことも考えたが、今後を考えると私の口から皆に知らせる必要がある。そなたの持つ力と地位を。それが紅姫を守ることとなるのだ。」
「わかっています」
御影さんも言っていた。婚姻の儀は行うことに大きな意味がある。本来ならば簡略化することも大反対を受けているくらい重要な国儀なのだ。
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