脆姫は過去に生きる
私は富さんに支えられながら大広間から出ようと扉の方に向かう。

凍り付いた空気の部屋の中、ふと何かが動く気配がした。


「咲っ!」
後ろから聞こえてくる鉄王の慌てた声に振り返った瞬間、私は何かがどんと音を立てるのを聞いた。

近付いてくる何かに私はとっさに自分のお腹を庇う。





ギュッと目を閉じてお腹を抱きしめるようにして身構えた私は、恐る恐る瞳を開けた。


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