脆姫は過去に生きる
「はっ・・・はぁっ・・・・」
「咲?どうした?苦しいのか?」
うまく息ができず私は胸に手をあてたまま蹲る。
鉄王が私の体を支えながら「医軍を呼べ!」と叫んだ。

過呼吸になる私の体を鉄王がしっかりと抱き留めていてくれる。
そうでなければ意識を失いそうだ。

でも、今意識を失うわけにはいかない。
何が起きたのかをちゃんと見ないと・・・確かめないと・・・


私は苦しみながらも視線を動かそうとする。

「ゆっくり息をしろ。咲。もう大丈夫だ。」
鉄王は大きな体で何も見えないように私の視界を遮る。
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