脆姫は過去に生きる
「もう少し眠るんだ。体に負担をかけてしまったからな。安静にしないと。明日からまた戦に向かう。しばらくここへは来られないからな。」
「え?」
「すまないな。一緒にいることができなくて。また明日から戦場へ向かわなくてはならない。私が行かないと何とも治まらないようだ。」

時代背景が全く分からない。

でも急に不安になった。

この知らない世界で鉄平がそばにいない・・・?

そして、戦場って・・・命の危険がある場所に行くってことなの・・・?

私は思わず鉄平に抱き着いた。
「おかしな咲だな。もう少し眠るといい。そばにいるから。」

”そばにいる”あたりまえと思っていたのに、当たり前じゃなかった言葉。
かみしめながら私は目を閉じた。夢なら覚めないでと願いながら・・・。
< 18 / 251 >

この作品をシェア

pagetop