脆姫は過去に生きる
「医療と前に咲は言っていたが、この世界ではまだまだ医学は進歩できていないと咲の話を聞いて私は学んだ。」
「・・・」
「私たちが生きている今は、長い長い歴史の中でほんの一瞬なのだろうと思う。」
鉄王はいつだって私の話をよく聞いてくれている。
聞きながら自分の国の未来を、そして今を考えているのだろう。

「この一瞬に私は何かを刻めるとは思っていない。ただ、今生きている人が一人でも多く、この時代に生まれてよかったと思ってほしい。それだけなんだ。後悔の無いように、生きられる世界にしたい。」
私は鉄王と、この国も、鉄王の気持ちも考えも一緒に背負っていく。
なのに今・・何をしているんだか・・・悲しい・・・苦しい・・・

「今は私が背負う番だ。」
「・・・え?」
「この国のことも、咲のことも。」
「・・・私たちの子を守るのが今の咲の役目だ。それだけは私にできない。」
「・・・」
鉄王は私の想いをすべてお見通しだ。
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