脆姫は過去に生きる
見たことの無いような恰好をした人達が、次々に部屋に入ってくる。
その手には豪華な金や銀の食器たち。

おいしそうな香りもする。

「紅姫、お召し物のご確認をいたしましょう」
女性が3人私の方へ近付く。

すぐに身構えて私の隣に戻ってきていた鉄平の影に隠れると、「どうした?」と鉄平が私の方を見た。

「紅姫、王に失礼ですよ。さぁ、こちらへ。」
年配の女性が私の手をグイっと引いて立たせようとした。

「うわぁっ!」
きている服の丈の長さに、慣れていない私が転びそうになるとすかさず鉄平が抱き留めてくれた。

「手荒にするな。まだ体調が戻っていない。このまま食事でかまわん。」
鉄平が助け舟を出してくれる。
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