脆姫は過去に生きる
「少し休め。泣きすぎて顔色悪くなってる。まだ治ったばっかりなんだ。ゆっくり、のんびりだな。」
私の体を抱き上げて、ベッドに寝かせてくれる鉄平。

「いや」
「なにが?」
「寝たくない。」
寝てしまったらこの世界が終わってしまうかもしれないと思うと怖くて目を閉じることができない。

「寝ない」
「咲菜」
夢が覚めてしまうなんて嫌だ。

「わがままだなー。じゃあせめてベッドに横になれって。ほら、俺も一緒に横になるから。」
そう言って私の隣に横になり、私の体を抱き寄せる鉄平。
すっぽりと鉄平の体に包まれる。

「寝ないから、私。」
「いいよー、寝なくて。」
必死に私は鉄平の体を抱きしめる。
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