脆姫は過去に生きる
「あー幸せだなー」
「・・・」
私を抱きしめながら鉄平が言う。

窓からはまぶしい日差しがはいり、きらきらとまぶしい。

「こうして咲菜がいる。抱きしめられる場所に。咲菜と一緒に目が覚めて、また一緒に眠る。息をして、光を感じて、お腹がすいて、満たされて・・・何をするときも咲菜がいる。呼吸を感じて、ぬくもりを感じられる。」
「・・・」
「咲菜がいるだけで、こんなにも満たされる。」
ふっと優しく笑いながら私を見つめる鉄平。

「俺、幸せだな。」
「・・・」
私も幸せ。
「ここに俺の幸せが全部つまってる」
鉄平が私の頬に触れた。
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