脆姫は過去に生きる
「男の子だ」
「え?」
鉄平はそう言って私のお腹をみた。

「咲菜に似てお転婆で強がりな男の子。」
「・・・え?」
「大丈夫。咲菜、大丈夫だよ。」
「・・・鉄平・・・」
「おいて逝ってごめんな。一人にして、つらい思いさせてごめんな。」

切なく笑ってから鉄平は何度も繰り返した。

「愛している」と。

「咲菜、愛してる。」
最後の最後まで鉄平は何度も何度も・・・そう繰り返し言ってから・・・光の中に消えていった。
< 224 / 251 >

この作品をシェア

pagetop