脆姫は過去に生きる
「頑張れ!」
「・・・」
私は大きな陣痛の波が来て力みながらなぜか涙が溢れた。

「咲菜っ!」
何度も何度も私の名前を呼び、愛していると繰り返す鉄王。

この人と出会えてよかった。
そしてこの人との子に会いたい。

その一心で私はありったけの力を込めて力んだ。

「ぎゃーっ!!」
力強い産声に、そばにいた誰もが微笑みを浮かべずにいられなかった。

「力強くたくましい、皇子の誕生ですね。」
御影さんの言葉に私たちは目をあわせる。
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