脆姫は過去に生きる
声の主は私の方に駆け寄り、すぐに私の体を抱き起す。

「咲っ!しっかりしろ!」
呼吸が乱れている私の体を抱き起して、鉄平は私を心配そうに見つめる。
私は震える手で鉄平の頬に触れた。

もしも今私の命が終わってしまっても、この人の胸の中で死ねるならばそれでいいかもしれないと思う・・・

愛する人の胸の中で
愛されて死ねる

それが私の人生なのならそれでいいと思ってしまう。


でも・・・

鉄平を失ってからの日々を思い出す。
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