脆姫は過去に生きる
ためらうことなく、私に口づけて水を飲ませる鉄平。

「・・・っ」
驚く間もなく、私の口に流れ込む水を、私はのんだ。

「もう少し」
何度も鉄平は私に水を飲ませようと、口づけてくる。

どきどきしているのは私だけかもしれないと思いながら、私は水を飲んだ。

「いい子だ。どこも痛まないか?」
「・・・大丈夫・・・」
まだ胸が痛む。
それは内緒にして、私は痛みに影響がない程度の声量で答える。

再び私の体を横たえた鉄平の手を私はひく。
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