脆姫は過去に生きる
この時代でも鉄平が私を想ってくれていることがうれしくも感じる。
でも、同時に、この厳しい時代に、私がもっとちゃんとした器があれば皆が認めてくれる存在になれたのに、私の体のせいで鉄平の足を引っ張って苦労を掛けていることが苦しかった。

もしも、鉄平が私以外の姫との世継ぎを設ければこの国も、きっと自分の国のためにとこの城に住む姫たちも、国中の人も安泰なのだろう。
それが今のこの世界の平和なのだろう。


私のせいで・・・いろいろな人を不幸にして・・・苦しめて・・・不安にしている・・・

その事実にいたたまれなさを感じずにいられない。

「紅姫」
「・・・はいっ」
「具合でも悪いのですか?寝てばかりで、顔色もよくないようですが最近。」
富さんの言葉に愛想笑いで返しながら私は鏡の中の自分を見た。
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