脆姫は過去に生きる
「脆姫が来たわよ」
部屋に入るだけでそんな話題でもちきりになる。

かなり姫たちから嫌われている私。
今までは体調を崩してお茶会に参加できないことも多かったらしい。

少しだけでも顔を出すことを、富さんに言われる理由が分かる気がする。

「体調はいかがですの?」
真っ赤な口紅の姫が私に声をかける。

「お気遣いありがとうございます」
愛想笑いでごまかす。
「王がお戻りになられるのももうすぐと伝達がありました。どうかそれまでに体調を整えくださいね。かなり悪いようですので。」
嫌味っぽい・・・でも私はひるまない。鉄平が戻る情報を聴いて、鉄平の無事を確認できたような気がして、ホット胸をなでおろした。
< 68 / 251 >

この作品をシェア

pagetop