脆姫は過去に生きる

「ご心配いただきありがとうございます。」
頭を下げて用意されている自分の席に座る。

ここでしばらく我慢をしなくてはならない。
出されたものに口をつけるなと鉄平からも忠告を受けている私。

そんな私の横に、この世界の姫の中では珍しく髪の短い姫が座った。

前に富さんから聞いた名前は菊姫。

勇ましいほどはっきりとした顔をしている。

「私は王がお戻りになられたら、王の御殿に向かう予定です。」
菊姫の言葉に姫たちが一斉に視線を向ける。

「私の国は貧しい国。こうして私がこの場にいることで、私の国の平和は保たれている。でなければ枯れた土地の多い我が国が起き残ることは難しかった。そこを助けてくださったのは現王です。」