脆姫は過去に生きる
その日から何日も夜を越えた。
時計やカレンダーのないこの世界。

私は毎日、しるしを書いて何日が過ぎたのかを把握していた。

「大丈夫ですか?」
「・・・」
言葉にして返事をする余裕のない私。
寝台に横になったまま動けない日々を過ごしていた。

鉄平はまだ帰ってこない。

富さんは王が戻る前に、数名の兵が戻ってくるはずだと教えてくれた。
王の御殿を整えてから王を迎えるためだ。

その兵たちも戻っては来ない。

はじめは張り切って健康に勤めていた私。
その反動なのか体調は悪くなる一方だった。
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