脆姫は過去に生きる
食欲がわかず一日中めまいと吐気との戦い。
何時間眠っても体力を回復させようとしているのか、眠い。

一日中寝台から出ることができないまま過ごして、少し吐き気が落ち着いたときに見上げる天井と、心配してほとんど眠らずにそばにいてくれる富さんくらいしか目に入ってこない。

何日も食事をとれず、脱水だけは回避しようと、吐き気をこらえながら水を飲む日が続いている。

「熱もあります。どうしたことでしょう。何かの疫病でしょうか」
心配性の富さんが医軍に伝えるも、険しい表情のまま首を横に振られるだけだ。

原因に思われることを片っ端から見つけてどうにかしようとする富さん。

感謝しながらも、言葉すら出てこない現状に私は焦るばかりだ。

こんな状況だと余計に周りに心配をかける。
そして、また鉄平に迷惑をかけてしまう。

焦りだけで思うようにならない体にいら立つと余計に吐気に襲われた。
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