余りもの王女は獣人の国で溺愛される
第二章
私とリヒャルト様のやり取りを見守っていたギャレリアの二人は、まとまったことにホッとした表情を浮かべた。
リヒャルト様はそのまま、父の元へと向かい丁寧に告げた。
「ただいま、マジェリカ様にも承諾を頂きました。二日後の帰国の折には、そのままマジェリカ様を連れて行きたいのですが、よろしいでしょうか?」
使節団の訪問日程は今日含め三日だった。
つまり一緒に帰国するということは、一国の王女が移住して結婚するための準備が二日も残されていないということである。
しかし、そこはこれから国交が開かれる両国の友好のため対応せざるおえないだろう。
ギャレリアは、獣人の身体能力と魔法力で周辺の国の中では強く大きな国なのだ。
「第三王女、マジェリカの貴国への降嫁をマテリカ国王アルマス二世の名において承認する。二日後の出立までには準備をする。よって、一緒にギャレリアへ行くことも承認する」
父の返事により、私の正式な結婚への承認と移住許可が出た。
たぶん、お姉さま二人の結婚より決まるのも行動するのも早いが仕方ないのだろう。
獣人族に番と認められたのだから。
しかも、相手は竜人で現ギャレリア国王の弟で外交官だ。
獣人の番なら、一途に愛されることは間違いないので幸せなのかもしれない。
愛も、恋も本の中でしか知らない私には未知なことだけれど。
こうして、結婚の話が早急にまとまると私は一気に忙しくなるのだった。
移住と結婚がほぼ同時なために極端に準備期間が少ない。
そして、私はまだリヒャルト様のこともギャレリアのこともよく知らないままだ。
不安がないとは言わないものの、決まったものは決まったのだ。
国のため、隣国ギャレリアに二日後には移住します!!
あっさりと意識が切り替えられるのが私の長所だと、自分では思っているのだった。