余りもの王女は獣人の国で溺愛される
マテリカで過ごす最後の日。
この日は国王であるお父様の一言で、家族揃っての晩餐となった。
家族専用の食堂に行けば、そこにはお父様とお母様達とお兄様達、そこにギャレリア王国の使節団の三人も居たのだ。
「お待たせしてしまいましたか?」
私が聞くとアルジーノお兄様が答えてくれた。
「いや、ちょうどつい先程みんな揃ったところだよ。今日は非公式で食事会をすることにしたんだ。リヒャルト様も、家族になるからね」
確かに、私が結婚すればリヒャルト様はマテリカではお兄様達の義弟という立場になる。
絶対この中では、マテリカ国側の誰より年上だと思われるけれど……。
「結婚するので、今後のことも考えてお話する機会があればと。アルジーノ殿下にお願いして、お邪魔させていただきました」
にこやかに告げるリヒャルト様に、後方で待機している護衛騎士さんと補佐官さんが少し申し訳なさそうにしている。
「そうですね。両国の付き合いについての会議はあったでしょうが、親交を深めるような時間はあまりないですものね」
私が理解を示すと、リヒャルト様は微笑んで告げた。
「私たちが帰国すれば、最短三日後には結婚式を行うことが出来るでしょう。なのでマテリカ側の参列者もお連れ出来ればと思いまして」
うん、結婚式までの準備期間もとっても短いなとこの度日程を聞いた私は少し遠い目をしてしまうのは仕方ないと思う。
そんな私の表情を見たらしい、補佐官のルーアンさんは周囲を見つつ告げた。
「リヒャルト様は王位継承権を放棄しておりますが、王族です。そんなリヒャルト様が番を見つけて連れ帰ったとなれば、もはや国を上げてのお祝いモードに入ります」
え? だってギャレリアって獣人の国で結婚しているのはみんな番を見つけたからなんだよね?
どうして、そこまで大きくなるのか私が分からずにいるとルーアンさんの説明は続いた。