余りもの王女は獣人の国で溺愛される
「竜族は寿命が長いのですが、それ故に番に出会うまで長い時がかかるのが常なのです。そんな竜族の王族が百年ちょっとの成人したばかりで番を見つけたら、祝わずにはいられないのですよ」
そうか、長命というのは時に番と出会うまでも長いということなのね。
納得感はあるが、国を上げて祝うレベルなんだ?
そうなの? と疑問は尽きないけれども、私が嫁ぐのは決まったことなので、このまま流れにのるしかないのである。
「なので、出来ればどなたかに明日の帰国時一緒にギャレリアへ訪問いただきたいのです」
しかし、結婚式にも参列するとなると誰が行くかは結構難儀するのでは? と思っていたがあっさりとアルジーノお兄様が言った。
「ここは私が行くべきだろうな。護衛には数人騎士を連れて行きたい。護衛の中にはライレスも含めて最小人数で俺含め五人くらいかな?」
王太子の隣国訪問としたら護衛も少なくこころもとないが、そもそも竜族の輸送はそんなに大人数は運べないのだとこの時聞いた。
お兄様の提示した人数は妥当だと思われる。
「えぇ、その人数でしたら私が運べますね。大丈夫ですよ」
どうやらルーアンさんが、お兄様一行を引き受けるらしい。
そうなると私は必然でリヒャルト様に運ばれることになる。
「リヒャルト様は番と離すわけにはいきませんからね。なのでマジェリカ様とエーレインはリヒャルト様です」
移動についても話が着くと、夕飯を食べつつ結婚式についてや、ギャレリアの国について話を聞いたりして過ごすことが出来た。
その間、リヒャルト様が終始笑顔でいた。
美貌の男性の笑顔の破壊力について、考えさせられることとなった。
こんな男性と共に過ごしていけるのか?
鼓動の早くなる胸をそっと押さえつつ、私は明日ギャレリア王国へと旅立つことに、少しの不安と、期待を膨らませたのだった。