余りもの王女は獣人の国で溺愛される

籠に乗っての空の旅は、少し不安があったもののそれは杞憂だった。


籠はリヒャルト様の魔法でしっかり守られており、揺れも風も軽減されており快適空間となっていたのだ。


しかもその中には、可愛くて甘いお菓子や飲み物まで準備されていた。


「エーレインさん、リヒャルト様の飛行だとギャレリア王国へはどれ位で着くのでしょうか」


私の疑問に、エーレイン様は驚きの回答をする。


「竜人族の飛行ですと、お昼前にはギャレリア王国の王宮に着きます」


馬車で森を迂回すると半月かかるのに、森の上を飛んだら三時間ってどういうことですか?!

「それは、ほんとうですか?」


にわかには信じられなくて、思わず訪ねるとエーレインさんは教えてくれる。


「竜人族の飛行は、獣人族最速なのです。一番身体能力も寿命も長い一族だから。魔法にも長けていますしね」


そういうものなのかな?

早くつくのは有難いけれど、馬車の工程を考えると少しずるくなっきてしまったのは私だけかな?


「竜人族の方はすごいんですね」

たしかに、このスピードで攻められたら、国はあっという間に滅びてしまう。
大国として認められて、周辺国とうまく外交しているけれど、牙を向いたら脅威だろう。


怒らせてはならない国、それがギャレリア王国なのだ。


そして、二時間少し飛行した頃には森の中にポツポツと村や街が見え始め、三時間後には綺麗で優美なお城へとたどり着いた。


「ようこぞギャレリア王国へ。弟の番は君かな? 歓迎するよ」


ギャレリア王国の王宮の大きな大きなバルコニー、そこに降り立ち籠から出ると銀髪にアイスブルーの瞳の美丈夫がおりました。


この容姿の良さと、瞳の色から推測すると……。


どうして、国一番の偉い方がお見えになっているのでしょうか?






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