余りもの王女は獣人の国で溺愛される
「国王陛下、伴も付けずにここにいて良いのですか?」
竜体から人型に戻ったリヒャルト様は、お辞儀をした後にそう問いかける。
髪の色こそ違うけれど、同じ瞳の色に美しく整った顔と大きな背に纏う威厳。
この方がギャレリア王国の賢王。
リーデンベルグ国王陛下のようだ。
「初めまして。リーデンベルグ国王陛下とお見受け致します。私、マテリカ王国第三王女マジェリカ・ディ・マテリカでございます」
私の挨拶に、目を細めて私を見たギャレリア王国の国王は楽しそうに私へ言葉をかけてくれる。
「ようこそ、わがギャレリア王国へ。そなたの予測通り、私が国王リーデンベルグだ。弟とルーアンが世話になったな」
私を見る目は穏やかで、強ばっていた体から少し力が抜けた。
「近くて遠い隣国の姫を迎えられることを嬉しく思う。この国を気に入ってくれるといいのだが」
優しい瞳で告げてくれる言葉は思いやりに溢れていて、国王陛下に私は自然と頭を下げて挨拶したのだった。
「陛下自らお迎え頂き、大変嬉しく思います。ギャレリア王国にて、これからこの国について学び、少しでも貢献したく思います」
私のまだまだ硬さの残る言葉にも陛下は穏やかに一つ頷いて、言った。
「そなたにとって、ここも故郷とおなじく過ごしやすくなるよう私も計らおう。ここはそなたの家でもある。危ないこと以外は好きに過ごすといいだろう」
物凄いことを言われた気がしてならないが、私が返す言葉は一つしかない。
「ありがとう存じます」
こうして到着をギャレリア王国で一番偉い人に迎えられて、この国での一歩を踏み出すことになったのだった。