余りもの王女は獣人の国で溺愛される
「外交長官、リヒャルト・ギャレリアとマテリカ王国第三王女、マジェリカ・ディ・マテリカ様の入室です」
謁見の間の前にいた騎士さんが声をかけて、謁見の間の大きな扉が開く。
綺麗な大広間の先には階段の先に玉座があり、先ほど到着時に挨拶してくれたリーデンベルグ陛下とその隣には金髪に翡翠の瞳の綺麗な女性。
その色合いは先ほどバルコニーで見た黄色の竜そのもの。
王妃陛下だった。
階の前にリヒャルト様と並んで止まり、教えてもらった通りに礼をする。
ここに来る前、王妃様と王女様を見送ったあとにニコラさんが教えてくれた。
何度か練習したらできるようになったので、大丈夫だと思うのだけれど……。
「面を上げよ」
陛下からの声掛けに、私はゆっくりと顔を上げた。
階の上には銀髪にアイルブルーの瞳のリーデンベルグ陛下と金髪に翡翠の瞳のリーリヤ王妃。
色がキラキラだけれど、二人の雰囲気は穏やかでとても仲がよさそう。
「マテリカ王国のマジェリカ王女よ。遠路はるばる、よく来てくれた。これより我が弟リヒャルトと共に、ギャレリアで健やかに過ごされると良いだろう」
「ありがとう存じます。これから、この国で自分に出来ることをおこない、ギャレリアの一員となれるよう頑張りたいと思います」
そんな私の返事を陛下も王妃様も、隣のリヒャルト様も嬉しそうに聞いてくれた。
「リヒャルト。見つけた自分の番を大切にな」
「もちろんです、陛下。マジェリカは私の大切な番なので」
挨拶を済ませると、私とリヒャルト様はリヒャルト様の離宮へと移動する。
今日から、一気にギャレリアで新生活がスタートする。
とりあえず、二日後からギャレリアの歴史やマナーについて学べるように手配していただいたので、お勉強からスタートとなりました。
そして二週間後には挙式という、かなりハードなスケジュールです。
なんでこんな予定かというと、お兄様も早めにマテリカに戻らなくてはならないこと。
見つけた番と離すことは出来ないから、早めに挙式するのが一番なんだと控えの間で待っている間に二コラさんが教えてくれました。
ニコラさんも、竜族同士で番だそうで今後竜族について色々教えてくれるとのことだった。
身近に教えてくれる人がいて、少し安心したのだった。