余りもの王女は獣人の国で溺愛される
「皆さん、本日は私の茶会にお集まりいただきありがとう。今日は私の新しい、大切な方を紹介いたしますわ。マテリカ王国第三王女、マジェリカ・ディ・マテリカ王女よ。リヒャルトの番なの、よろしくね」
王妃様の紹介に私は頭を少し下げて、ギャレリアの挨拶をする。
「王妃陛下より、ご紹介にあずかりました。マジェリカと申します、まだまだギャレリアには不慣れですが、どうかよろしくお願いいたします」
笑顔でしっかりと挨拶を述べた私に、王妃様は満足そうに微笑みそして言った。
「可愛いでしょう? 私の義理の妹になりますの。皆さま、よしなにね」
王妃陛下の庇護があると、言葉でも態度でも示してくれた王妃様に私は感謝を込めて笑みを向ける。
挨拶が済むと庭園に並べられたテーブルに案内される。
今日はお茶会、テーブルには可愛らしいお茶菓子が並んでいる。
そして、私は恐れ多くも王妃陛下と同じテーブルに着くことになった。
新参者なのに良いのだろうか?
しかしその席は王妃陛下の仲良しの婦人たちの集まりで、和やかにお茶会は進む。
「マジェリカ王女は、マテリカではどのように過ごされていましたの?」
穏やかな右隣の婦人に尋ねられて私は、今までの過ごし方を答える。
「私は、マテリカでは末の娘でしたのである程度の勉学と礼儀作法を収めてからは、国の中の孤児院の支援をしておりました」
私の返答に夫人は少し目を見張った後に穏やかな表情で問いかけてくる。
「具体的にはどのようなことを?」
「私にできることは限られていますので、バザー用に刺繍の品を作ったり、時間のある時には王都の三か所の孤児院を回り、子どもたちに読み書きを教えておりました」
私の返事に、夫人はとても穏やかに微笑みそして私の手を掴んでいる。
「なんて、素晴らしい方でしょう! ご自身のできることをしっかりなさって、親のない子の先を見据えた活動を行っていらしたのですね」
それが王家の女子の勤めだった。
でも、私は子どもたちと過ごす時間が好きだったのだ。
「彼らの未来が少しでも明るいように。そのためのほんの少しの手助けしか出来ませんでしたが、彼らと過ごすことは私にも良い刺激が多くありました」