余りもの王女は獣人の国で溺愛される
「マジェリカ様も、良い経験をなされたのですね。そうした活動をなさっていたのでは、少し国を離れるのはためらわれたのでは?」
心配そうに聞いてくる夫人に私は微笑んで答える。
「後の支援については、兄上にお願いしてまいりました。三人の兄もとても優秀なので、私以上にしっかり支援してくれると思います」
私の返答に、夫人はにこやかに返された。
「そういえば、マテリカは王子が三人でしたものね」
「はい、どの兄も優れた部分があるのです。兄弟で支えあって、マテリカ王国を導てくれると思います」
私の迷いない返答に、夫人は穏やかに私を見つめていった。
「ご兄弟、仲がよろしいのね。 リヒャルト様はそんなご家庭で育ったマジェリカ様をお気に召したのかもしれないわね。陛下とリヒャルト様も、大変仲がよろしいから」
確かに、国を支えるという面でリヒャルト様も陛下を支える弟であり、外交を担っている。
うちのお兄様と似ているし、私自身も兄弟の仲は悪くなかったから、できることで支えるのは当たり前だと思っている。
「まだ私はこの国に来たばかりで、ギャレリア王国のこともよくわかりません。ですが、リヒャルト様をしっかりお支えしたいと思います」
私を望んでくれたリヒャルト様に、しっかり答えたい。
この国のことを学び、リヒャルト様のそばで私にできることを。
場所が変わろうとも、育ってきた環境がものをいうのだろうか。
私は、どこでも自分にできることを考えることはやめられないのだった。
それが王女の、王族としての務めだと教え込まれてきたから……。
私と夫人の話をしっかり聞いていた王妃様は、それをリヒャルト様に伝えたことで少し大変になるのは、私にはまったく想像もできていないことだった。